名称:オウバク(黄檗・キハダ)
学名:Phellodendron amurense
ミカン科の落葉広葉樹




産地

北海道、本州、四国、九州に自生。また、樺太、韓国、中国、台湾にも分布

成分

アルカロイド類(ベルベリン、パルマチン、フェロデンドリン、マグノフロリンなど)、トリテルペン系苦味質(オバクノン)、粘液性物質(ステロール類)

栽培

キハダは、萌芽(ほうが)の性質が強く、キハダをきる場合は、やや土面より上で切り倒すようにすると、萌芽するので、適当な幹を残しても20年程度の育林が必要です。 キハダの種類には、日本産のオオバノキハダ、ヒロハキハダ、ミヤマキハダがありますが、中国にはシナキハダ、タイワンキハダがあります。 キハダは落葉広葉樹の高木で、温帯山地の渓流沿い、斜面下部や山腹台地の水湿のよい場所に生育する。高さは25メートル、直径1メートルにも達するものもあります。

採取

最も地上部の生育が盛んな梅雨期に樹皮をはぎます。根から水分を吸い、枝から葉部に多量に水が送られる時期は、コルクと内皮もはがれやすいので、この時期が採取には最適。コルク層を取り除いた内皮は日干しにして乾燥させます。これを生薬で黄柏(オウバク)といいます。

キハダの内皮を乾燥させたオウバク(黄檗・黄柏)は強い抗菌性をもつ ベルベリン などの アルカロイド を含んでおり、大変苦く、古来から胃腸薬の原料として有名です。陀羅尼助(だらにすけ)、信州木曾のお百草(ひゃくそう)、山陰地方の練熊(ねりぐま)もこれらは、すべて黄柏エキスから作られたもので、古くから胃腸薬や腹痛の妙薬として用いられています。ベルベリンは抗菌作用のほか、抗炎症作用も併せ持つとされます。腸内の異常な発酵や腐敗の抑制、腸管運動の抑制などにより、下痢の治療に用います。

キハダの内皮は漢方薬として利用するだけでなく、黄色染料として、飛鳥時代から用いられてきました。中国で服色として地位の高い黄色にオウバクを用いたのにならったものです。他に寄せ木細工の黄色としてキハダの材、また和紙にオウバクの黄色をそめ、虫除けとしても用いられ、非常に有用な樹木です。今後も定量的な需要のある樹として期待されています。

民間療法での利用方法

打ち身、ねんざ、湿疹、しらくも、神経痛、
リウマチ、水虫、扁桃炎、股ずれ、やけど、腰痛

⇒樹皮末と酢を練り合わせて患部に塗布する。

結膜炎、目の充血
⇒樹皮の煎汁で洗眼する

下痢、二日酔い、腹痛、貧血
⇒樹皮粉末を煎じて服用、樹皮粉末を服用